言へなくつて。そこへ持つて来て、今の話で、スツカリどうも毒気を抜かれちまつた。ハツハハハハ。
伊佐子 (明るい自然な嬉しさうな顔になつてゐる)だつて、あなた。……(笑つて)でも、ホントにあなた真赤よ。うでだこみたい。それで聯隊へ帰つたら叱られやしない?
美緒 ですからホントにあつちの居間の方でいつとき横におなんなさいよ。なんなら小母さんにチヨツト毛布でも出して貰ひますから。(五郎に)ねえ、お願ひだから、あなた散歩して来て頂戴よ! (語気が強い。先程から顔を紅潮させて、イライラしてゐるのである)ね! もうあと一時間しか無いのよ!
五郎 だから俺あもつと赤井と話がしたいんだと言つたら! お前、なんでそんな風に言ふんだ? (少し怒つてゐる)
美緒 ですからさ! だから――(伊佐子に)伊佐子さん、ホントに御遠慮はいりませんから、あちらへ、どうぞ! それぢや赤井さん佐倉へは帰れませんわ! 居間の押入れに毛布がありますから。小母さんは、たしか買出しに行つたやうですから、どうか御遠慮なく。ホントに! 横になつてユツクリなすつて!
伊佐子 はあ、でも(モヂモヂしてゐる)
赤井 (びつくりして不安な眼で
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