利ちやん、あんたばかりそんなにベラベラ喋るもんぢや無くつてよ。
利男 なんだよ?
美緒 いえ、伊佐子さんも見えてゐるんだから――。
赤井 なに、いゝんですよ。ハハハ、(伊佐子に)又、家でグズグズ言つたんだらう?
伊佐子 えゝ、……いゝえ。……あのう、これ、こちらの奥さんにハムを少し、それからあなたの冬のシヤツを二枚。……そいから、欲しがつてゐたライタアと、固型ガソリン。ガソリンは随分捜したの……(フロシキ包みを差し出したまゝ、おびえた様な顔をして、しかし目を大きく開いて、赤井の顔をジーツと見詰めてゐる)
赤井 さうか、ありがたう。……どうしたんだ?
伊佐子 ……(石の様に夫を見詰める)
利男 ……なあんだい姉さん、元気さうぢやないか。お母さんや恵子姉さんが、なんだか大分悪さうだと言ふもんだから、心配しちやつたよ。この間お母さんや恵子姉さんやつて来た時に、なんか有つたんだつて? だもんだから僕あ――。
赤井 (聞きとがめて)え? なんか有つたんですか?
美緒 いえ、なんでもありませんの。(利男に)相変らずね、お母さんは、ホンのチヨツトやつて来ただけで、私をよく見もしないで、直ぐにそんな風
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