んですよ。
利男 (赤井に辞儀をして)……今度いよいよ、なんですつてね。電車の中で伺ひました。
赤井 やあ。後の事はどうかよろしくお頼みしますよ。
利男 そいで、御出発はいつなんですか? どの方面ですか? やつぱり北支でせうね?
赤井 ハツキリわかりません。いづれ、そこいらだらうとは思つてゐるけど。(小母さんが一同に茶を運んで来る。小母さんと伊佐子は辞儀を交す)
利男 どうかしつかりやつて来て下さい。僕なども今に来るだらうと思つてゐますけど、なんでせうか、補充兵といふのは、入隊してからどの位の間教育してから現地へ行くんでせうか? 大学で軍事訓練の方はやつて来てゐるんですけど、ウワの空でやつたもんですから、どうも身体に自信が無くつて。こんな事ならもつとマジメにやつとくんでしたよ。ビシビシやるんださうですね?
赤井 (苦笑しながら)補充兵の教育期間もいろいろで、一定してゐないやうですね。一時随分気合ひをかけられて辛らかつたさうだけど、現在はそれ程でもないでせう。
利男 なんですか、痔が悪いと、はねられるさうですけど、僕も少し痔の気があるんで……。もつとも大した事はありませんけどね。
美緒 
前へ 次へ
全193ページ中113ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング