キ包みを下げてゐる。ガツシリした直線的な身体に、思ひ切つて明瞭な感じの美しい顔。素朴な人柄の中に永らく他家の女中をしてゐた者の習慣的な卑下の態度がまだ抜けてゐないし、それに今日は出征する夫に会ひに来たせゐか、稍々おびえた様な顔つきが時々覗く。
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利男 今日は。
五郎 ……あゝ利ちやんか。伊佐子さんも来ましたね。ようこそ、赤井はもうトツクに来てゐますよ。(伊佐子、無言で辞儀をする)さあさ。……
利男 (あがつて来ながら)電車が丁度同じでしてね。どつかで逢つたやうなと思つてゐたら此処でいつかお目にかかつてゐたんだ。……姉さん、どう、具合は? (美緒うなづいて見せる)もつと早く来ようと思つてゐたけど、又お母さんに話しかけられちやつて。なあに、例のお嫁の話さ。いやんなつちまわあ。ハツハハハ、これ、おみやげ。(と菓子の包みを姉の枕元に置く)
美緒 ありがたう。
伊佐子 (あがつて片隅に坐つてモヂモヂしてゐたが、キチンとお辞儀をして)暫くでございました。奥さん、その後いかゞでゐらつしやいますの?
五郎 いゝんです、いゝんです。挨拶なんか抜きにして下さい。赤井は随分待つてゐた
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