イラしてたまらなかつたけど、近頃そいつが反対に、なんかとても頼もしい気持がするやうになつて来た。
五郎 ……(なんにも言へない)
美緒 ……私も、もう一度、生れ変るかなんかして、どんな事をやるかと言ふと、又過労のためにこんな病気になる事がハツキリわかつてゐても、又託児所をやります。……そんな気がするんですの。
五郎 ば、ば、馬鹿な! そんな――こら! お前達! たまるか! いや、さうして見ろ、そんな元気があつたら、それもいゝだらう! ただ、死んだらいかん! 死なれてたまるかい! (睡眠不足とビールの酔ひと昂奮のために、美緒を見たり赤井を見たりして言ふ)な、赤井! そんな、そんな、野狐禅の坊主の言ふやうな事は俺は嫌ひだよ! 美緒、阿呆だ、そんなおめえ――
赤井 アツハハハ、ハハハ(これも酔つて真赤になつてゐる)怒るな! 怒るな! 話をしてゐるんだ。ハツハハハ。
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 この時玄関に、美緒の弟の利男と、赤井の妻の伊佐子が連れ立つて入つて来る。利男は背広姿で、少し軽佻で落着きに欠けてゐるが、善良さうな男である。言語動作に学生風が抜け切らない。伊佐子は、簡単な洋服姿に、フロシ
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