す)けさ、ふかしたパン。
せい パンが、しかし、どう――?
双葉 取られちまったの。……夕御飯に、みんな食べる物が無い。……(せい子、事情がわかってハッとしてその辺を見まわす)
柴田 (寄って来て)どうした?
三平 ……(上手扉からスタスタ入って来て、炊事場の双葉とせい子に眼をやり、すぐに事情がわかって)ああ、やっぱり、あいつが、やっちまったのか!
誠 どうしたんです?
三平 なに、なんにも言わんけどね――(何か問いかけそうにする柴田に向って)おお、ホーボ! (身をひるがえして扉を出て行く)
せい ですけども、あんだけのパンを。たりないながら、とにかく五人分ばかり有ったのを――
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(言っている所へ、三平が、きたないなりをした若い男の肩をこづくようにして連れて入って来る。そのうしろから圭子が入って来る。若い男はズボンをはき、藁くずなどの取りついたクシャクシャの頭髪に、真黒によごれたはだし。捕えられたための悪びれた様子は全くなく、ただいぶかるような表情の氷りついたようになった瞳で、喋る相手をキョトリと見ている。最後まで一言も言わないが、それは、言うべき事を持っていなが
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