ら、何か理由が有って言わないのではない。だから、此の室の人間の中では、この男が一番落ちついている。時々、シャックリをする)
[#ここで字下げ終わり]
三平 (柴田に)犬小屋から、へんな人間の足のようなものが突出しているから覗いて見たら、中でスースーいびきをかいて眠っているんですよ。(男の額を指でグイと突いて)おい、ユー! なんとか言ったら、どうだね? ぬすんだろう、お前がそこから、パンを? (男、三平を見て、ヒョコリとおじぎをする。サーカスで馴らされた熊などがするように単純きわまる、無表情な頭のさげかたである。そして再びボンヤリ三平を見て、シャックリをする)
柴田 ……しかし、そうだとすると、この室に入って来たことになるが? この室には私らが居たんじゃから――
せい でも、私は表の畑に出ていましたし、先生は床の下に入っていらして――その留守に、入って来れば来れない事はないわけですけど――しかし、あれだけのパンが一人で食べられるでしょうか? これ位のが、たしか七つか八つは有りましたよ、ねえ双葉さん?
双葉 ――(泣きやんでいたのが、コックリをする)
三平 君は一体、なんだえ? うん? (
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