にゴタゴタする筈はないと僕ぁ思う。……もしかすると、君の方に……君の方に、まだこの、みれんと言ったような――
せい そんな、そんな事は有りません。そんな、誠さん――ひどいわ。
誠 じゃ、なぜ――?
せい ……わからない。あなたには、わからないのよ。
誠 ……わからなくたっていいんだ。僕が君をホントになにしている事さえハッキリわかっていれば、そのほかに問題は無いんだから。――そうだろう? 此方へ向きたまえ、そうじゃないの? ……(そうして言葉を切り、首うなだれて立っているせい子の姿を見ているうちにカッとして荒々しく相手の肩をつかむ。その力でせい子がヨロヨロと倒れかける。それを倒れさせまいと、誠がその肩を抱きとめる。――そのままで低くすすりあげているせい子。……薄暗い中で黙ってしまって立っている二人。……やがて天井の電燈がスッとついてあたりが明るくなる。さまで大きい燭光の電燈でもないが今まで暗かったために、まぶしい位に感じる。誠とせい子が身を離して、その辺を見まわす。そしてギョッとする。奥の出入口から室に入ったばかりの所に立停って此方を見ている欣二の姿。――しばらく前からそこに立って二人を
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