よして下さい。そんな人じゃないんです。とてもそりゃ、いちど間違うと、とんでもないムチャをする人で。こないだなども、どうでも戻って来ないと言うんなら、殺してしもう。……そう言ってアジ切りなど持ち出して、ホントに私の肩に切りつけたりして。……着物を斬られただけですけど。そう言った――いえ、以前はムチャはムチャでも、そんなあぶない真似なんかする人じゃありませんでした。それが出征している間に、なんだか、スッカリ気持が荒れて――自分じゃ、向うで患った熱病が、まだ抜けきらないせいだってって言いますけど――カッとすると、まるで気がへんになったみたいな――
誠 それは、そんな事をして見せると、君が、ちじみあがってしもう事を知っているためにやる事だ。とにかく、僕が一度逢って見る。おだやかに話せない問題ではないんだ。
せい いけません。そんな――いいえ、私からよく話して、なにしますから、もう少し気長に――
誠 君にまかしとけば、いつの事になるかわからない。
せい 大丈夫ですから――
誠 だつて、もう二カ月も三カ月も同じ状態で少しも話が進みはしない。君の心持さえハッキリきまっていれば、こんな事、結局はそんな
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