先は無し、困っていたら――兄が昔、先生から教えていだいた事が有ると言う縁で、こうしてお手伝いしながら、御厄介になっているだけなんですから、出て行けとおっしゃれば――
誠 (子供のようにすすりあげる相手が憐れになればなる程イライラして来る)そんな! そんな事を僕は、そんな事を言ってるんじゃないんだ! 僕が、僕が言ってるのは――僕は、僕が、どんな風に考えているか、君は、よく知っているんだ!
せい ……ええ、そりゃ、わかっています。だから、ありがたいと思って――
誠 ありがたいなんて、そんな――僕ぁ一人の男として、あんたをなにしているんで――
せい (小さい声で)うれしいんですの、ですから。……しかし、でも、私、それで、どうすればいいんですの? ……弱いんです私。……そうは思っても、急に言われても、私には、どうにも出来ない――
誠 だから、あんたの手でそれをしろと言ってるんじゃない。あなたさえ、心をきめてくれれば、あとは僕が処置する。場合によって、厨川と言う人とあんたと僕と三人同席してようく話し合った上で、気持の上で三人とも無理のないようにしてですね――
せい いえ、とてもそんな事だめです。
前へ
次へ
全142ページ中83ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング