、私も加勢しようかな。
双葉 (棚から食器の入れてある目ザルを取って、食卓の方へかかえて来ながら)いいのよ。
三平 まあ、よこしなさい。
双葉 (かまわず、食器――と言っても簡単な、七組ばかりの椀と平皿と箸だけ――を食卓の上に並べながら)だったら、叔父さん、すみませんけど、畑から、チシャを少し取ってきて、井戸でよく洗って来て下さらない? おこうこが、みんなになってたから。
三平 おこうこなんか、無くてもいいだろう。
双葉 うん、チシャをお塩でもんで、ふかしパンと一緒に食べると、おいしいのよ。第一とても栄養が有ってよ。
三平 栄養か。此の際だ、栄養とあれば、取って来ずばなるまい。(ノソノソ上手扉の方へ)
圭子 私が取って来ますわ。(これも上手扉へ)
三平 いやいや、レデイに、そんなあなた――(圭子がいっしょに行くと言うので、恐悦して、もつれるようにして出て行く)
双葉 (その二人の後姿へ)ズーッと向うの端から取ってよ、叔父さん! 引っこ抜かないように外側から一枚一枚もぐのよ。
欣二 あんな寄生虫が食いつぶしてるんだ。あんな奴等あ、一日も早く放り出してしまわないと、フー公、今にお前達ぁひぼ
前へ 次へ
全142ページ中65ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング