めもしないでアッサリと言う)
三平 ……なにを欣二、お前そんな失礼な――いや、どうも、はははは!(誠がフイと立上って校正刷を持って上手扉から外へ出て行く)
三平 ははは、チョンガアが気を立てるわい。
欣二 気を立てるってなあ、こんなもんじゃねえや。ヘヘ、おせいさん、どこい行ったの?
柴田 欣二、お前、酒を飲んだなあ?
欣二 酒を飲んだってなあ、こんなもんじゃありません。……それ、なぜ食わないんです?
柴田 うむ、しかし後で、夕飯の時に、みんなでこの――
欣二 みんなで食うだけは無い。食べなさい。ほら! (しつこく、チーズを手に取って父の口の所へ差しつけて行く)ほら、さ!(無理に父の口にねじこむ。柴田しかたなく食う)
[#ここから2字下げ]
(上手扉から双葉がバケツをさげて入って来る)
[#ここで字下げ終わり]
圭子 ……双葉さん、今日は。
双葉 あら、圭子さん……ようこそ。ちっとも知らなかった。
欣二 (肩越しに双葉を振返って見る)……。
双葉 まあ、ちい兄さん、どこい行ってたの?
欣二 どこいも行きやしないよ。
双葉 だって――(炊事場へ行ってバケツを置く)この四五日、まるきり帰って
前へ
次へ
全142ページ中63ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング