いていた。……誰?
双葉 ……お父さんの学校の学生の人――
三平 そうかね? だが、馬鹿はおだやかでない。先生だろう、すると、兄さんは? 先生のことを君――
柴田 いやいや、いいんだ。ありゃ、りっぱな青年だ。
三平 りっぱな青年が、上長に対して――近頃、そんなふうになって来たのかね?
柴田 まあ、いい。
三平 道義、地に落ちたり。ふん。Pero nun ca selo digas(帽子をぬいで、ドシンと椅子にかける)
双葉 お父さん。手や足をお洗いになったら?
柴田 そうさな。
双葉 水を汲んで来ましょうか?
柴田 なに、井戸へ行こう。(フラリと立つ。双葉がその背に片手をかける)いいよ、一人でいい。
双葉 いえ、私も畑に御用があるの。(力なく歩く父を助けながら上手の扉の方へ)
三平 腹がへった。フーちゃん、腹がへったよ。
双葉 はい、直ぐ、なにしますから。(父と共に外に消える)
三平 どうした誠君?
誠 (横になったまま)ええ。
三平 どうかね、社の方は? ストライキは、いよいよ、はじまりそうかね?
誠 ええ。
三平 元気が無いね。これから君、戦闘をはじめようと言うのに、そんなグッタリ
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