夢を見ている?
柴田 いつの間にか、眠っちまっていたらしい。いきなり、ドカンドカンとお前、――びっくりして眼を開くと、まっくらだろう? はは、はは。
三平 しかしフロアの下で眠ってしもう奴もないじゃないか。
双葉 それだけ疲れていらっしゃるのに――(柴田がクシャンとくしゃみをする)そら、ごらんなさい、風邪ひいちゃった!
清水 ……僕、今日は、これで失礼します。(頭を下げる)
柴田 どうも、なんだ、失敬した。そうかね。いずれ、なんだ――ええと、ジャガイモは、どうも――(食卓の上を眼で捜すとイモは無くてフロシキだけ)
清水 ……(そのフロシキをクシャクシャにして右手で掻き寄せ、ポケットに突込みながら、うつ向いている顔から、ポタポタポタと涙が食卓の上に垂れる。双葉と柴田と三平と誠が次々にそれに気附いて、びっくりしている。――清水、その涙を横なぐりに右腕で拭いて、柴田を正面から見る)……先生は馬鹿です。(ふるえる唇で低く言って、クルリと背を向けて、スタスタと奥の出入口から去る)
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三平 ……どうしたな、今のは――?
柴田 うむ。
三平 泣
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