ワあ、みごとなおジャガですわねえ? お宅でとれたの?……(せい子返事が出来ないでいる)よござんすわねえ、ずいぶんたくさん有るじゃありませんかあ!(包をほどいてしもう)まあ、こんな大きい。(ゴロゴロゴロところがり出して床へ落ちた芋の二つ三つを拾い取って)へえ!(チョットそれを見ていてから)……ねえ、これを少し分けていただけないでしょうかねえ?
せい でも――(清水を見る。清水はへんな顔をしてお光を見ている)
お光 いいでしょう? そうすりゃ、とにかく、帰って行っても、私、お父つぁんに叱られないで済むんですからさ。
せい それは、しかし先生に――
柴田 (同時に床穴から首をもたげて、泥だらけの小さいシャベルをせい子の方へ出す)おい来た。
せい はい。――(受取るが、眼は直ぐお光の方へ)
柴田 なんだ?
せい そのねえ、おジャガを分けてくれって、お光さんが――
柴田 そう。そりゃ……そうさな、そりゃまあ、いいだろうが――そりゃ清水君達が――(清水の方を見る)
清水 それは、先生んとこの物です。
柴田 うむ、そりゃ、あんたんとこも困っているんだから――
お光 はい、ありがとうございます。
柴田
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