きをさせまいと思って、欣二をしっかりと抱き込んで炊事場の方へ引っぱって来ながら)きさま! 駄目だぞ! この――!
欣二 なあんだい? 苦しいよ、何をするんだあ。ヘヘ、馬鹿だなあ、父さんは! 父さんこそ駄目だよ、へえ、一番愚劣なのは父さんだよ! (言葉は相変らずユックリとして低いが、身体は逆に柴田の身体をグイグイと押し、反対に父親の首をしっかりと抱き込んでいる)これでも飲みなさいよ。(それまで右手にさげていた酒の瓶の口を柴田の口に押しつけ、父親の顔を仰向けにさせて酒をつぎ込む)
柴田 あ! プー、こ――(酒にむせ、炊事場の薪にけっまずいて仰向けにころぶ)
欣二 (これも同体にころんで)アッハハハ、さあ、さあ! (尚も酒をつぎ込む)
柴田 (苦しがって、もがきながら)これッ! こ! 欣――(顔中に酒が飛び散る)
欣二 お父さんを見ると、僕ぁひねり殺してやりたくなるんだ。にわとりをひねるようにさ。こんな風にね。(父の首をしめる。柴田のもがき苦しんだ右手が無意識に、そこに転がっていた手斧を掴んでいる)
せい あっ! あっ!
双葉 ちい兄さん!
欣二 ガリッと踏み殺せ! そこら中、みんなズタズタ
前へ 次へ
全142ページ中139ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング