史の勉強のこれが、私の実は出発点だ。日本人を信じている。これが出発点! ……それが崩れれば、私の学問も崩れる! 日本人一人々々の自己完成無くしては、学問も、日本の再建も、あり得ない! これが、崩れれば死んでも惜しくない! ……しかし、そんな筈はない、絶対に、そんな筈はない! 私は信じている! やって見せる! な、誠、わかるか? わかってくれ! 賛成するしないは、別だ。わかるだけは、わかるだけは、わかってくれ! そ、そ、そ――(再び喘いで、絶句する)
誠 ……わかります。お父さんとして、そう考えられるのは、当然でしょう。しかし一人々々の自己完成の方法には限度があります。全体が改革されなければ自己は完成できません。父さん一人が死んで見せたって――
双葉 兄さん、もう、よして! たくさんです! よして、兄さん!(片手で誠をさえぎり、片手で父親の腕を掴む)
柴田 う? (無意識に双葉の顔を見上げた顔の色が真青に変っている。しかし直ぐに又誠の方を見て喘ぎながら)なんだ? 言ってくれ、聞こう。相手が父だからと言って遠慮することはない。(双葉に)よろしい、よろしい。
誠 ……(父の様子を心配そうに見
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