ではしなくたって、間接的に、つまり欣二やおせいさんやなぞが闇で買って来たものを食べないわけにはゆかない事も知っておる。……不合理だ。人は笑うだろう。自分の不合理は承知している――それはしかし唯意地になっているのではない。……倫理道徳から来ているのでもない。……戦争中は、あれだけの苦しい戦さを国民全体がしているのだから、私など、それ位当然だと思ったから……又こうなって、自分達の愚かさのために、よその国に迷惑をかけた。戦勝国でさえ自分達の食糧をさいて日本にくれている。その日本のわれわれが、この敗れた国の人間が、これ位苦しむのは、あたりまえだと思うからだ。……それに、それに、私は、こうなっても、まだ日本人を信用している。……最後のところで、信じている。日本人は――役人にしろ誰にしろ――日本人が私を殺す筈はない! 日本再建のためには、闇をするなと言っているその言葉を守って――なんとかして守ろうとしている私を、日本人を、見殺しにする筈はない! え? そうだろう? ……万々が一、これで死ぬならば、われひと共に、これが日本人のホントの姿、運命――身から出たサビと諦らめて、私は死ぬ。……いいかな? 歴
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