と思う。そりゃ私なぞ、誠兄さんの言うこと、よくわからない。よくわからないけど、こうして、つらい思いをして、働いて食べて行ってる貧乏な人達のために都合の良い世の中が来なくちゃいけない、来させるようにしようと言う考えの、どこがいけないの、え、ちい兄さん? 兄さんはただイコジになっているだけだわ。そうじゃありませんか。腹の奥の奥の奥では、ちい兄さんだって、それを望んでいるんだと私思うわ。そうじゃなくって? 私は――私、今とてもつらい、つらいけど、そいでも、まだこれで以前の時代より、良くなったと思うの。本質的によ。本質的に良くなる望みが出て来たと思うの。本質的に良くなった、良くなる望みが出来て来たという事を認めたら、その事から今差し当り起きて来ているいろんなつらい事位がまんして、こらえて行かなくちゃならないわ。そして、そんな事を自分の手で順々になおして行かなくちゃならないのよ。
欣二 双葉、そいじゃ、お前のその顔のキズをなおして見ろ。ヘッ、お前のツラなんか此方から見るとバケモノだぜ、いえさ、もう少し経ってお前に恋人でも出来てからだな、今言ってるような事が言えるか?
双葉 (カッと見ひらいた両眼
前へ 次へ
全142ページ中108ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング