としている。それは――
欣二 見おとそうとなんか、してない! 俺の言っているのは、そんなこと同じ事じゃないかしらんと言うんだよ。眼かくしされていたんだ俺達ぁ。しかも、かんじんな事は、眼かくしされていると言う事に気が附かない。気が附きようがない。そりぁ、兄さんみたいに、かしこい人達は気が附くだろうけどさ、一般の俺達人民にゃホントの事ぁわからん、わからなかった。この先きも、どうすればわかるようになるか、そいつを俺ぁ――。
誠 そんな事ぁないよ。今、いろんな人が戦争を振返って見て、すぐに、だまされていた、だまされていたと言うが、そりゃ嘘だ。たくさんの人間が、そんなにかんたんにだまされるものじゃない。
柴田 そりゃ、あとになって自分の責任をごまかして他になすりつけようとする卑劣さだな。私には、まけいくさそのものよりも、日本人の中にこのようにたくさんの卑劣漢が生れたことの方が悲しい。この方はもう、どんな言いのがれをしても、追っつかない。日本国民は敗れた結果、劣等になったのではなくて、その前から劣等国民だったのだな。それを思うと私は――
誠 違うんです。僕の言うのは、誰がリードして戦さをはじめたか
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