りゃ、たくさんだね。わけないよ、そんなものになるのなんか。しかし、そうなったからって、どうなんだ? ヘッ、俺に言わせりゃマルキストなんか無邪気なもんだ、いやマルキストにしてからが、自分を動かしているものが、ほんとは、マルキシズムなんかとは縁もゆかりも無い、もっと根深い所に有ることに気が附いていないね。
誠 じゃ言ってごらん。君は気が附いてるのか?
欣二 附いているとも。んだから、三半規管をよこせ!
三平 ハハ、三半規管たあ、妙な事を言い出した。
欣二 蛙の耳の中から三半規管をとってしまって水ん中に入れると、奴さん、上か下か方角がわからなくなって、むやみに下へ下へともぐって行ってしまって、しまいに窒息して死んでしもうそうだね? フフ、おもしれえだろうと思うんだ、そいつを、はたから眺めていたら。しかし、また、当の蛙にとっちゃ、なにがつらいと言って、こんなたまらない事ぁないだろうと思うね。なにをメドにして、どっちい行っていいか、わからないもんなあ。中にゃ、自分から窒息して死んでしまおうと思って、下へもぐったつもりの奴が上へ出てしまって助かったりさ、ハハ、とにかく、いくらドデン返しを打って見た
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