ィっしゃって――。いえね。私ども、チットはたしにしようと思って、セッセとやっちゃいますけど――今も、あなた、それなんですの――けど、なんしろ、焼跡でしょう、レンガやガラスだらけで、そう急にチャンとした畑になりやしません。やっと少し出来たかと思うと、はじからドロボウにやられる。泣くにも泣けません。――ホントにありがとうございます、どんなに助かりますか。
清水 ……(せい子の言葉は聞き流して、柴田から眼を離さぬ)みんな、先生を待っています。
柴田 (それまで飲むのを忘れて手に持っていたコップの水を一息に飲んで、しばらく黙っていてから)……じゃまあ、言うが――……みんなの気持は、ありがたい。が、私が休んでいるのはだな――からだのかげんが面白くないとか、食料に不自由しているとか――そ言った事のためではないんだよ。
清水 ……そいじゃ、なんのためですか?
せい (柴田がうつむいて、黙っているので)だってあなた、食料は不自由しているんですから。第一、先生は、おからだが弱いとか、食料に不自由しているとかなんて言ってらっしゃるけど、ちがいます。おからだが弱いのは食料がたりないからですよ。そのほかに、わ
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