めての――「告白」である。
言辞が、たまたま論争的になることがあっても、僕の本意に非ず、君よ許せ。
そこで、事の順序として――と言っても、めんどうくさいから結論から先きに言うが――
君が「答えと問い」の中で述べている意見は、根本的に全く、まちがっている。
3
「今の日本にこそ高い演劇が必要だ」と君は言っている。それは、よい。僕も全くそう信ずる。
今、われわれが真に高い演劇を生み出し得るか得ないか、又は高い演劇を生み出すための鞏固な準備をととのえ得るか得ないかは、少し大げさな言い方かも知れぬが、対英米の文化戦争で勝つか負けるかの境目を作る因子の一つになる。そして是が非でも勝たなくてはならないのだ。この様な事を僕などが今更らしく言うと人々の耳には滑稽に聞こえるかも知れぬが、そのためには、われわれは自己の職能の中で、ひたむきに努力しなければならぬことは自明だ。
君達が劇団苦楽座を結成したのも、結局は君達がそれを感じて立ちあがった姿であると僕は見た。大いに、よしと思った。さすがに丸山定夫であり、徳川夢声であり、高山徳右衛門であり、藤原鶏太であり、八田尚之であると思った
前へ
次へ
全66ページ中6ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング