俳優への手紙
三好十郎
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《》:ルビ
(例)曙覧《あけみ》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)橘|曙覧《あけみ》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)18[#「18」は縦中横]
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丸山定夫君――
本誌〔演劇・昭18[#「18」は縦中横]〕昨年十二月号に君の書いた「答えと問い」を読んだ。その中で君は、先頃から僕が君にあてて出した手紙に就て君の考えたことを述べている。
その真率な調子に、先ず[#「先ず」は底本では「先づ」]僕は頭を下げた。しかもそこに書かれている事は、昨日や今日、ヒョイと思い附かれた即興的な感情では無く、永い過去から現在に至るまでの良心的俳優としての君が経験して来た事実から生み出された考え方――言って見れば、君の身体に叩き込まれた所から出ている「音」である。それは殆んど運命的な径路と時日を要して君の裡に少しずつ少しずつ蓄積され形成されて来た思想の切断面である。
僕は君のために、よろこんだ。君が、君としては珍らしくムキになって来ていることが解り、ああ丸山もい
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