団の、たゞ単に経営的劇団としての存立にとって必要であったからである。そして両劇団とも「永続」しつゞけた。つまり曾て「政治的」「イデオロギイ的」劇団であった両劇団が、既に真の意味では政治的でもイデオロギイ的でも無くなってしまってからも、その政治やイデオロギイのシャッポをかぶっているような、かぶっていないような、甚だ怪しげな姿で以て「永続」しつゞけた。ことわって置くが、僕がこれを言うのほ、僕が自らを清しとして、他の古キズをとがめているのでは無い。又、自分の「先見の明」をひけらかすために言っているのでは無い。言わねば話がわからぬから、事実を言っているまでである。もし「先見の明」を誇って、とがめているとするならば、僕は自身をも含めてとがめているのだ。なぜならば、既にその様なものになり果てた両劇団からさえも、外部の一個の劇作家として乞われゝば、そして、その時に表明された両劇団の思想的、社会的立場を、その時僕が承認した限り、僕は、上演戯曲を提出した事が両三回あるからである。
で、とにかく、そんな風にして両劇団ともつゞいて来た。その「永続」は、形の上だけの永続であった。一言に言って、悪質の永続であ
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