ねえんだな?
香代 へーん? ……そいで、あと、どうするんだよ?
磯 ……香代ちやん、これでお前の物、すつかりだけど――(と言ひながら奥から、手に二三の下着類を持つて出て来る)おやいらつしやい。早いのね?
志水 本社へ来たついでに、ベツピンの顔を拝んで行かうと思つてね。
香代 ねえ、そいで、あと、どうすんだよ? (と変に真剣にしつこい)
志水 まあいいよ。お前、酔つてるよ。
香代 酔つてる? 酔つたがどうした? 言へねえもんだから、人の事を酔つてるなんぞとぬかしやがつて! おい! お前達みてえな、ロクで無しの人夫がな――畜生! 馬鹿にするない! (怒つて志水にかゝつて行く)
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(そこへ表からヌツと入つて来る留吉。先に此処を出て行つたのと殆んど同じ装。出合ひがしらにお香代の狂態なので、入口の所で立止つて黙つて見てゐる)
[#ここで字下げ終わり]
より 香代ちやん、いけないよ! (とめる)
磯 どうしたんだよ?
より なに、少し飲み過ぎてんですよ。香代ちやん、あんた、今日住替へに出立するんだよ、しつかりして呉れないと困るよ。
香代 なによ言つてゐやがる! (より子の止
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