地熱
三好十郎

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)灯《とも》る

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(例)[#5字下げ]1 炭坑町の丘[#「1 炭坑町の丘」は中見出し]
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[#5字下げ]1 炭坑町の丘[#「1 炭坑町の丘」は中見出し]

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(開幕前に、上手から下手奥へ列車が通過する轟然たる響が近づき、遠ざかつて行く。開幕後も音は残る。
町はづれの丘。上手が斜めに切通しになつてゐて、私設鉄道の線路の一部。線路に添つて街道。その間に木柵。――炭坑地特有の、何から何まで黒い〈風景〉。晴れた夕陽の空。遠い山脈。秋。
切通しを見おろす丘の上に此方を向いて腰をおろし、遠くに視線をやつているお香代。胸の辺で何かしてゐる。
……間。
近づいて来るトロツコの音と元気一杯の男声二人の唄声。
(木挽歌)
『やーれ土方稼業と、コラ空飛ぶ鳥は、どこのいづくで果てるやら、チートコパートコ』
線路に現れて来るトロツコを押してゐる二人の工夫。トロツコにはトンネル工事の材料が積んである)
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辰造 おゝ、此の辺でチヨイ
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