になるかもわからない万年臨時工の金ちやんですよ。あなたのお好きな志水の兄きで無くつてお気の毒様みてえだ。それ、ポーツと来た。どれどれ。(逆さに覗く)
より あれつ! (裾を掴んでマゴマゴしたあげく、ペツタリ坐り込む)
香代 馬鹿だねえ、早くお行きよ!
辰造 なあ、より公! うどんの値段は私達のせゐぢや無いと香代ちやんが言ふがな――。
より 行つとくれよう! 私、立てやしないぢやないか。
辰造 ぢや、お前達を抱いて寝る値段も、お前達のせゐぢや無えのか? それ、聞かう?
香代 馬鹿、お行きつたら!
金助 そこん所を聞かねえぢや、一寸だつて動かねえ!
香代 よし、そんぢや、こら! (と持つてゐた茶碗の中味を二人に向つてぶつかける)
金助 わつ! な、な、なんだ! (顔を手で拭く)
辰造 ウエ! 変に甘えもんだぜ、全体なんだい、こりや?
香代 行かないと、もつと投げるぞ!
[#ここから2字下げ]
(辰造と金助は元気に、トロツコを押し去る)
[#ここで字下げ終わり]
金助 しよんべんぢや無えだらうなあ。ペツ!
辰造 おぼえてろ! 今夜行つたら、どうするか!
より (叫ぶ)ホントに今夜遊びにおいで
前へ 次へ
全93ページ中5ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング