水 うん。(その間により子が調理場から水を汲んで来て、香代に飲ませる)
辰造 もう大概集まる頃だぜ。行かう。
志水 うむ。……しかし金助が戻る頃だ。もう少し待つててやらう。……それに、俺あ留公にも、もう一度すゝめて見るつもりだ。
辰造 駄目だ。彼奴は駄目だ。無駄だつて!
香代 ……(少ししつかりとなつて)どう言ふの? 死んだ島田さんの手当の問題でしよ?
志水 うん。そいつがキツカケで、こないだから皆で相談してゐるがね、今となつちやそれだけでは無くなつてね、色々と臨時工の待遇を良くしてくれと会社に頼んで見ようと言ふ事になつてゐるんだ。
香代 また、えらい騒ぎになるんぢや無いの?
志水 そんな事あ無えさ。なんしろ、さうして貰はねえと安心して働けないから、会社へ事情をよく言つて頼んで見ようと言ふんだよ。おだやかな話だよ。言はゞまあ惨めな相談だ。先行きはどうなるか解らねえがね。ハハ。
香代 そいで、うまく行きさう?
志水 それが甚だ以て心細いんだ。自分達の事を相談するのに、人数が半分も集つて来ねえ様な有様だもの。しかし、まあやるよ。なんしろ此の儘でゐると、暮しが立たねえで、今にヒボシになつちま
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