セント以上の入りでした。ところで、その収入から製作費いっさいを支払ってみると純益はほとんど残らぬか、足が出て赤字になっています。劇団全員の月給など、そこからはまったく出てきません。月給は、劇団員たちが映画やラジオに出演した金を劇団に入れて積みたてたものから出るのです。作者への上演料はもちろん出ますが、そういう状態のため、ごく少額にならざるをえない。だいたい現在日本の一本立ちのシナリオライタアが、シナリオ一本書いて映画会社からもらっている金の五分の一か八分の一程度でしょう。しかも、もちろん上演したとき一回きりで、ふだんの作者の生活はまったく保証されていないし、保証するだけの力は劇団がわにもありません。したがって、われわれ劇作家は劇団を当てにして生活し仕事していくこともできないのです。
ザッと右のような実情に、私はあります。
2
小説家や評論家たちは、これほどではないのかもしれません。しかしよく考えてみると、それは程度の差だけで、ごく少数の流行児をのぞいて、小説家なども本質的には似たような情況にさらされていると私は思うが、どうでしょうか? その日ぐらしの不安を抱かな
前へ
次へ
全41ページ中5ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング