、現在日本の劇作家の中から代表的な十人をえらべばその中の一人になろう。それがこんな状態で仕事をしている。ウラメシイと言うのではない。不当だとも思わぬ。事実を語っているまでです。そして、しかし、この私などはまだ幸運ではないかと思います。とにかく劇作の仕事をつづけられるほどの状態ではあるのですから。
 現在の劇作家は、劇作の仕事だけでは、まったく食っていけないのがふつうなのです。それは前記のとおりジャーナル一般が戯曲を疎外しているためもあるが、一方、演劇が経済的になりたっていないためでもあります。
 いろいろの種類の演劇が現に存在しているのに、それらが経済的になりたっていないというのは、変な言いかただが、事実だからしかたがない。演劇興行だけの収入で人件費その他全部の費用をまかなって自立している劇団は、今ひとつもないといっても言いすぎではない。ほとんどが映画や放送に依存しているか、または、ひどく変則に赤字をころがして歩きながら芝居をしている状態です。他の人のことをいうと迷惑をかけるから自分を例にひきます。
 最近、劇団|民芸《みんげい》が私の作品を二三回上演したが、その全部がヒットで、百パー
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