さて、この点でも人さまのことは、さしあたりどうでもよい。まず私は私の足もとを照らしてみなければならない。これらのことにつき私は考えました。私の考えたことは例のとおり浅薄素朴なものかもしれないが、私にわかっています。それをのべてみます。

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 正直のところ、私はなにものにたいしても、どんな種類の抵抗もしたくありません。抵抗などむりなことをしないで、自分の貧しい生活と仕事だけにいそしんでいたい。しかし、いろいろの圧力はいろいろの方向からくわえられる。逃げても逃げても結局は逃げおうせることはできない。ならば、それを受けいれなければならぬ。受けいれることがイヤならば抵抗しなければならぬ。せざるをえない。だからといって、しかし、いくら貧しくとも自分の生活と仕事にいそしむという、私にとって第一義的に意味のあること、人間としての最低の基本的な要求をわきに打ち捨てて、それとは別のものである抵抗――または、それとは別のものとして抵抗をとりあげたくはない。もしできるならば、自身の生活と仕事にいそしんでいる私の仕事そのものが、そっくりそのままで角度をかえてみれば抵抗の姿そのものであ
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