いわばほとんど絶望しているからです。ソフィストリィを弄しているのではありません。素直に考えてそうなのです。それはつぎのように私に思えるからです。
 現在の自分の状態は、いかにも困った状態である。しかし、なんとかかんとかやっていける。やっていけるあいだは、これでやっていく。いよいよやっていけなくなったら、私は自分の作品をプリントにするか筆写して一部を百円で売ろう。全国に私の読者が一万人はいる。たぶん、そのなかの千人か五百人は買ってくれる。すると五万円から十万円が私の手にはいる。それだけの金があれば私と家族は三カ月暮せる。その三カ月でつぎの作品を書いて、また売る。そういうこともやっておれなくなったら、私は私にもできる軽い労働をさがす。それもなければ紙芝居屋になる。紙芝居なら私にもかなり巧みにやれる自信がある。そして休みの日や夜間に戯曲を書く。さて、そういうこともやっておれなくなったら、仕方がない、乞食になる。そして時間とエネルギーの余裕だけを戯曲を書くことに使う。
 君は読みながら、たぶん笑っていられるでしょう。なるほど、こんなことまで考えるのは感傷的すぎ、神経質すぎるかもしれません。しか
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