戦争は最初、北鮮側が南鮮に侵入してきたために勃発したと、アメリカ当局も日本の商業新聞の報道も言った。しかし自分は、それは疑わしいと感じていた。事実はその逆、つまり南鮮側、またはアメリカ側から最初北鮮に侵入し、または挑発したのではないかと疑っていた。その自分の疑いが、まさにあたっていたことが、この本を読んでわかった。南鮮側、およびアメリカ側は、戦争挑発の点で悪を働いただけでなく、その事実をかくし、その罪を北鮮側になすりつけるデマ報道をしたという点で、二重にけしからん。そういうことが、この本を読んでもわからない者は、白痴というのであろう」というふうに読みとったことを言いそえておきます。
それで勇んで読みました。はじめのうちは、なるほどと思いながら読みました。しかし、しだいに読みすすんでいくうちに、だんだん妙な気がしてきました。
ストーンは、朝鮮戦争勃発はまったくアメリカの反ソ的指導者たち、およびその手先である南鮮政府の挑発、または陰謀によるものであったという印象を作りだすために、じつに骨を折っている。それを彼は、公表された公文書や[#「公文書や」は底本では「公文章や」]新聞報道などを集
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