清水幾太郎さんへの手紙
三好十郎

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)清水幾太郎《しみずいくたろう》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)公文書や[#「公文書や」は底本では「公文章や」]
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 清水幾太郎《しみずいくたろう》様
 だしぬけに手紙などさしあげて失礼ですが、あなたに何か質問してみよとの雑誌「群像《ぐんぞう》」からの注文です。そうすれば、たぶんあなたが答えてくださるだろうというのですが、私にはわざわざあなたにご返事をわずらわせるような質問を出すだけの学問の素養もありませんので、再三辞退したのですが、どんなことでもよいから書いてみろとのことで、しかたなく、ごく短く書いてみます。
 私はこれまであなたの著書を二三冊読んだことがあります。それから今はもうなくなった雑誌「日本評論」に書かれた論文をいくつか読んだようにおぼえています。最近では、あなたがほとんど毎月執筆なさっている「婦人公論」や「世界」を読んできました。それらのものの中で、いまでも私の手もとにそろえうるものだけを先月から読みかえしてみました。
 
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