ようなものとしてかるく見すごすことができませんでした。つまり、かねて評論家としてのあなたのご発言を、私がかなりの程度まで信頼しているがゆえにしたことですから、あなたは許してくださらなくてはいけません。それに人間はだれでも、十分に準備し慎重に打ちだした大論文などよりも、割に不用意にヒョイともらした片言や小文章の中に、ホントの意見や姿を示すこともあることを知っているために、このようなものを割に重要視する習慣を私はもっているのです。
 事実、私は右のあなたの文章を読んでよろこびました。というのは、私は朝鮮戦争勃発以前から、朝鮮の姿に注目しつづけており、朝鮮人の友人もかなり持っているので、戦争勃発のときには、大きなショックを受け、それだけに、勃発のときの事情については、私なりの情報をあつめたりして、ある程度の認識をもっているという自信はありますが、しかし、これこれだと断言できるほどの知識はいまだにもてないでいます。そこへ、あなたほどの人が、こんなにハッキリ言っていられるのだから、この本を読めば、すべてが明らかになるにちがいないと思ったのです。
 念のため、あなたの右の帯紙のご文章を、私は「朝鮮
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