だしてみれば、あるいはご教示をえられるかもしれないし、それが他の人びとのためにも多少はなるかもしれないと思いました。そのためにこれを書きます。
 まず、ごく小さいことをおたずねします。これはしばらくまえにある新聞にも書きましたが、昨年翻訳出版されたアメリカの評論家ストーン著「秘史朝鮮戦争」についてであります。
 その本の表紙の帯紙に、あなたは「朝鮮戦乱勃発のその日から、私は(何かかくされている)という疑惑に悩まされつづけてきた。だが私の疑惑は正しかった。(中略)この本を読んで目がさめないものを白痴というのであろう」と書いていられます。そのことなのです。たかが帯紙に印刷されたスイセン文をトッコにして、あげ足を取ろうとしているようにとられては困ります。私にしましても「帯屋」だとか「チンドン屋」などという言葉があることは知っていまして、広告用の文章にたいしてそうムキになるのは非常識なことは承知しているのです。しかし、いくらそういう場所であっても、あなたが無責任なことを書かれるはずはないと私は思いました。
 それに、ご文章の調子も烈しく、決定的だったし、かりにもこれを「チンドン屋の文句」に似た
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