ズム=共産主義は、武力の主義です。各国各地のあらゆる共産主義運動(その中の大きい波が革命であるが)を調べてみるとよい。つねに武力に先行されている。暴力をともなっている。戦力に裏づけられている。それは共産主義者がそろいもそろって戦争が好きであるというようなことではない。現実関係のある段階にいたると、共産主義の実践そのものが戦力のなかに具体化されるのである。共産主義者の手がサーベルを取るのではない。共産主義者の手そのものが、あるときには、サーベルになるのである。以上私は簡単に書く必要上比喩的に書きましたが、もう少しチャンと実証的に書けとあらば書くことができます。
さて、そんなわけで、理論的にも実際的にも、マルクシズム=共産主義と、絶対的平和主義とはまったく相容《あいい》れない。絶対的平和主義とは、どのような種類のどのような名のもとに行われる戦争にも、それが戦争であるという理由だけで反対する主義のことである。
マルクシスト共産主義者が平和を取りあげるばあいは――たとえ取りあげている当人の主観がどんなに真率なものであるばあいにも――それが真理であるとか正義であるとかの理由よりも、それがその
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