ルクシズムの方法を、たぶんに採用なさっている人であるためです。もちろんこの二つの理由は相互にからみあっていて切りはなしては考えられません。
 第一のことを説明します。日本は独立を回復したが、しかしその独立は条件つきのもので、アメリカとのあいだには安保条約があり、日本内地には強力な、数多くのアメリカ軍事基地がある。ということは、現実的に日本はある程度までアメリカの軍事力の下にあるということだし、同時に日本が再軍備されたうえで、アメリカまたはアメリカをふくむ自由主義諸国が、他の国へむかって、もし戦争をはじめることになれば、たぶん自然に、日本はそちら側の戦力に組みこまれることになろうということです。だから、戦争や再軍備に反対しようとする者は、実際上では、アメリカおよびアメリカの日本支配に反対せざるをえないわけです。そういう反対者もたくさんいます。私もその一人です。
 ところが、それとは違った反対も多いようです。どう違うかというと、ちょうど右を逆にした反対者です。アメリカまたはアメリカ資本主義またはアメリカ帝国主義(と彼らのいうもの)などに反対したいために、そのアメリカのイニシアチブのもとに、
前へ 次へ
全37ページ中27ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング