していないかをうかがいたいと思います。
なぜ私がこのようなことを質問するかといいますと、日本のインテリゲンチャのなかには、学問的にも実際的にも、そのことをハッキリとつかみとる段取りを抜きにして、資本主義というものは悪いものであるという、ホッテントットふうの固定観念を持っている者が多く、その資本主義国が外国、ことに社会主義や共産主義を称している外国にたいしてする対外関係においては、悪いのはいつでも資本主義国であると思いこむ傾向が強いようです。インテリのなかでも、とくに共産主義者や社会主義者にこの傾向ははなはだしい。
朝鮮戦争の例のばあいもそうでした。私は少しでも自分の判断を正確なものにしたいと思って、いろいろの多数の人たちの意見を聞きあつめましたが、その中でもっともいちじるしかったことは、私の知っている多数の共産主義者のことごとくが、一人のこらず判で押したように、しかも即座に、戦争勃発については北鮮には責任なく、アメリカと南鮮が陰謀し挑発したものであると確言したことです。しかも、それについての十分な証拠をあげようとした人は、ほとんどいませんでした。
それは、まるで、共産主義や社会主
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