する、必らずそいつが、以前よりも悪くなって、転げ込んで来る。もう、どうしようにも手遅れだ。直ぐ参ってしまう。失敬だが、君の奥さんだってその一例だったと言やあ言える。……花柳病のクランケが来る。手当てをしてやって、チョット良い。暫くすると又来る。前よりもキットひどくなっている。……二人や三人じゃ無いもんなあ。なぜ二度と病気にならんようにしないんだと叱り飛ばしてやっても、メソメソしたり、ペコペコしたり、中にはセセラ笑ってる奴もいる。……そうだろうさ、なぜと〔言って〕俺から言われたって、どうにもならんのだ。あの連中にも、俺にも、どうにもならん原因から、あの連中の身体あ冒されて、死んじまう。……するてえと、診療所で俺のしてる事あ、物事をただ一寸のばしにしているきりだ。だろう、三好君?
三好 俺にゃ、よくわからん?
堀井 わからん? ふむ。……そりゃね、社会施設をもっと完備させろ、働らく人間がもっと安心して働いて行けるような組織……そいつをもっとチャンとしてくれと言ったようなことに、俺の考えはなるかも知れん。勿論、それもある。それが第一かも知れん。しかし、それで全部キレイに片附くか? 片附かんよ
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