田 ……そいつは、しかし、僕に死ねと言うのと同じです。
三好 (叫ぶように)死んだらいいじゃないか。何をしていても、死ぬものは死ぬし、生きるものは生きる。冷淡なようだが俺あ知らん。君にまだ救われるだけの脈が有れば、誰から突っぱなされようと、救われる。むしろ僕なぞから早く突っぱなされればされるほど、早く救われる。そりゃね、君には望みが有るから、もっと書いて行きたまいと言う事は、僕には一番たやすい。しかしそうすると、君のみじめなウロウロ歩きは、いつまで経っても、おしまいにはならん。よした方がいいね。
佐田 ……そうですか。
三好 ………やるかね?
佐田 …………………。(原稿を取る)
三好 ……やろうと、やるまいと君の勝手だ。しかし、此処で、僕の目の前でやることだけは、かんべんして呉れ。
佐田 ……失敬しました。じゃ、これで――。(フラフラ立って縁側へ。膝が痛そうである)
三好 ……帰るの? 電車賃は有るかね?
佐田 歩きますから……(庭へ降りる)
三好 だけど、その様子では……(たもとを捜して五つ六つのバラ銭を出す)じゃ、これ持って行きたまい。僕にも、これっきりしか無い。いいから――。

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