山と言う人が伺った筈でございますが――韮山正直と言って――。
登美 韮山さんなら、見えています。
本田 いる、と言うと――今、来ているんですか?
登美 はあ。朝からズーッと。
本田 そりゃ――そいつは――(言うなり、サッと縁側にあがり、キョロキョロと四辺を見廻す)じゃ、チョット失礼して――(あわてた風で座敷の方へ入って行きそうにする)
三好 ……(突立ったまま本田をジロジロ見ていたが)そっちじゃありませんよ。
本田 え? どこです?
三好 応接室です。そう申して来ましょうか?
本田 (あわてて)いや! いいんです! 私が行きますから。ええと応接室と言うのは――。
三好 こっちです。御案内しましょう。(先きに立って下手へ歩き出す)
本田 そりゃ、どうも――(キョロキョロと彼方此方を警戒しながら、三好の背後にピッタリと引き添うようにして、ついて行く。三好は、下手の室に入り、その奥の襖をサッと開ける。すると、本田は何と思ったか、三好より先きに、サッとそこから奥の廊下に消える。三好は驚いて、それを見ていたが、やがてこれも、奥へ去る)
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(登美はその二人の姿を見送って立って
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