唸る)うむ。……そうだな、俺あ、……まだ、俺なんか、駄目だあ。
佐田 そいつが、しかし、人から人民戦線だとののしられていりゃ、世話あ無いですね。
三好 なんとでも言うがいいんだ。その内には……その内には、この俺が、この俺こそ、チットは書いて見せる! 必らず、書いて見せる。それまで、何とでも言え、何と言われたって、俺にゃ、自分の量見をひん曲げて、タイコモチの真似は出来ん! きわ物の時局便乗物は書けん! そんな事をして、自分をいつわり、今の時代に時めき、それに依って、此の、此の偉大な時代を軽しめ、日本を嘲弄する気にはなれんのだ! (殆んど号泣するに近い)そんな事をする位なら、俺あ、このペンをおっぺし折って、首でもくくってくたばってしまう! それ以外の事なら、どんな苦しみでも俺あ耐えて行く覚悟でいる。しかし、しかしオベッカをしなければやって行けん苦しみにだけは、俺は耐えきれん! それだけは耐えきれん。それだけは、こらえてくれ! (頭をかかえ、机の上に突伏してしまう。背が波を打っている)
登美 (いたましそうに、それを見ている)……三好さん。
佐田 ……(これもマジマジ、三好の背を見守っている
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