善良さや力強さに引かれる。国民としての健康な本質に引かれる。だから、貧乏人を描く。描くからにゃ、ありのままに描く。しかも、その描き方の中にも国民として、民族の一人として、まちがった方向に向って引きずって行くような描き方は、絶対にしていない! これは俺は誰の前だって言える!
浦上 それならそれでいいじゃありませんか。あなたが事実そうで無いのならば、他から何と言われたって関[#「関」にママの注記]う事は無いんだから。(庭に立って冷たく笑っている)そんな風に、あなたが、チョット言われた位で、そんなにいきり立つと、却って、それじゃ、何かやっぱり在るんだろうと思われやしないかなあ?
三好 そ、そんな――そんな言い方で、君!……だから、俺あ、聞いているんだ。もしそんな所が僕に有れば――。
浦上 もう失礼しますよ。いつまで言っていても仕方が無いと思うんだ。しかし、これで七八年前の事を言えば、あなたにもそんな風な時代が有るにゃ有ったんだからなあ――。(庭口の方へ歩いて行く)
三好 そ、そ、それを――それを君――それを君が言うのか! そうか!(文字通り顔を叩きなぐられたように真青になって立ちすくむ)

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