はしていない。存在していないのにその様な言葉で人を指すのは、たとえば、唯単に人を陥れるために、その人の蔭にまわって「あいつは、赤だ」と言うデマ政治家の類いでしょう。そんなものこそ、ホントは革新を害する毒虫だ。
浦上 しかし、なんですよ、あなたの作品と言えば、今お返しした物もそうですが、いつでも、社会の暗い部分、貧乏な層だけが、十年一日の如く、いつでも題材になっていますしね。多少、そう思われても――。
三好 阿呆なことを言いたもうな! 暗い部分や貧乏人が現に居れば、そいつを明るくしたり、貧乏を無くして、日本人として健康なものにしなきゃならんのだ。それこそ革新だ。それ以外にどんな革新が在る? そして、そうするためには、先ず第一に暗い所や貧乏人の現状をありのままに正直に見て行く、人にも見せると言う事が絶対に必要なんだ。
浦上 いや、唯単に題材の点だけでは無いですよ。書かれ方も、そうなんだ。そいつを、どんな方向に向って[#「向って」は底本では「向つて」]解決するように、つまりどんな線に添ってそれを描いてあるかが問題なんだ。
三好 じゃ僕の物が、どんな描き方をしているかね? 先ず僕は貧乏な人間の
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