ひどいんで言いにくいんです……。
三好 言って見て下さい。僕も、あれで以てお宅から金を前借りしているんだし、それが駄目だで、すましては居れんので、出来る事なら、なんとかして上演して貰わんと気が済まない。あれは百五十枚チョットとですが、二十枚位なら刈込めるかも知れませんよ。
浦上 それがねえ、とても、それ位では――。なんしろ、取れる時間が、精一杯で一時間足らずなんで――。
三好 すると、百枚にちぢめても駄目ですね?
浦上 ええ、まあ……。
三好 じゃ八十杖なら、出来ますか?
浦上 それでも少し長過ぎますけど――。
三好 じゃ五十枚なら?
浦上 そうしていただければ、時間の点はいいんですが、そんなに刈込めますかしらん?
三好 ハハ、刈込めませんねえ。いくらなんでも三分の一には出来ないでしょう。そんな脚本は、初めから僕は書いていないつもりですがねえ。
浦上 ですから、ですから、初めにも申した通り、あんまり失礼だからって――。
三好 そいつは、しかし、少し無理と言うもんじゃないかなあ。……戯曲は生き物ですよ。そいつを三分の二だけ、ぶった切って、恰好つけろ。……こいつは、初めっから、出来ないを承
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