い理由が有りましてね、どうも、二本立てが否決されちまったんです。……そんなわけで、今更になって甚だ申しわけがありませんが――。
三好 ……刈込むんですか?
浦上 ええ……実はそうも考えて見たんですけど、あなたの前で言っちゃ、なんですけど、さすがにピシッと出来ていて、これ刈込むと言っても、そんな余地は無い。下手をすると、せっかくの良い脚本をぶちこわしてしまう。それでは、うちの芝居の建てまえにも反するし、第一、あんたに対して失礼過ぎる。で、此の際、残念ながら、これは一応保留と言う事にして、なんとか、他に応急策を考えようと皆の意見が――。
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(その話の内に轟が茶を入れて出て来て、二人の前に茶を出し、自分も坐って飲む)
[#ここで字下げ終わり]
三好 …………そうですか。……そいでほかに適当な本が――?
浦上 無いんで、困っているんですよ。こう日が迫って来ちゃって、改ためて誰かに頼むと言うわけにも行かず……出来る事なら、多少の無理をしても、あなたの物を予定通りやりたいのは山々ですけど。
三好 ……仮りに刈込むとすれば、どれ位ちぢめれば、やれます?
浦上 それがねえ、あまり
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