……そうかね。でも、そいつは何かの都合が有ったんじゃないか? 第一、批評するしないは当人の自由だもの。
轟 僕は、しかし、派閥根性と、一種の嫉妬心だと思うなあ、たしかに意識的なボイコットなんですよ。
三好 だが須堂さんが君に対して嫉妬心を抱くと言うわけも無かろう。
轟 外に取りようが、だけど、無いんだもの。当然この次には僕の戯曲に触れるべき所まで行くとグラリと方面を変えて他の雑誌の作品の批評をはじめているんですよ。たしかに、有ります! ほかの事は知らんけど、この僕のカンには間違いは絶対に無い! 絶対にありませんよ! なにが間違ったって、こいつだけは――。
三好 しかし、いくらなんでも、あの連中だって、それ程ケツの穴が狭くもないと僕は思うけどな。
轟 そりゃ、あんたが――。あんたが、そう思うのは、暫く引込んでいたからだな。現にあんたの事だって、あの連中ずいぶん酷く言ってるんだ。
三好 ふーん。なんだって?
轟 僕も又聞きですからね、ハッキリは言えんけど、……大概まあ、あんたの後輩でいながら、随分思い切った事を言うんだ。
三好 ……赤大根のインチキ野郎とでも言うか?
轟 いや、まあ、いろ
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