堀井博士に会わせろと言うんだけどね。この家の抵当のことさ。
轟 ……こんだけの家を抵当にすれば、随分借りられるだろうなあ。どれ位なんです?
三好 僕あよく知らん。
轟 あんたは、いつ迄此処にいるんです?
三好 強制処分になる迄は居る。頼まれた様な形になってるしね。
轟 後《あと》は、どこへ行くんです?
三好 さあ。……(煙草をふかす)
轟 僕んとこでよければ来て貰うんだけど、狭いしね、それに病人を抱えていちゃあ――。
三好 その後、おっ母さん、どんな具合だい?
轟 もう、あかん。病気も病気だけど、そこいら中、メチャメチャですよ。僕も、早くなんとかしなきゃ、下手すると、間も無く幕が降りちまう。
三好 …………(考え込んでいる)
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(登美戻って来て、机の上をフキンで拭く)
[#ここで字下げ終わり]
登美 ……(下手奥の方を※[#「臣+頁」、第4水準2−92−25]で指して)応接、馬鹿にシーンとしているけど、どうかしたんじゃないかしら?
三好 ……(チョットその方に耳をやってから)静かで、いいさ。
登美 だって、あんまりお腹が空いた結果――。
三好 眼をまわしたか? ハ
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